安野舞子先生と「ペット共生拡大勉強会!」熱い!宮城も動き出している!
「高齢者とペットのサポート最前線~人と動物の福祉を両輪で 宮城も動き出す・・・」。
11月24日(月祝)、安野舞子先生(横浜国立大学准教授)の講演と宮城の活動家とのシンポジウムによる、熱気あふれる充実した3時間を過ごしました。
▶安野舞子先生の熱い講演
超高齢化社会の中で、「ペットと暮らしたいと望む高齢者に対して、それが実現できる温かい社会をつくるにはどのようにしたらよいのか」というテーマのもと、高齢者とペットが最期まで共に暮らし、かつ人と動物両者の福祉が守られているサポート体制の好例をご紹介くださいました。安野先生は、科研費による自らの研究に加えて、この勉強会の対象者や宮城県・仙台市の自治体調査結果、事前アンケートなども踏まえた上でのお話でした。
自助があってが前提だが、力が及ばないときの共助・公助の具体的な好例として、自治体の「早期発見・早期対応」の多機関・多職種連携のしくみ、ペットと一緒に最期まで入居できる特別養護老人ホーム、「預かり」という方法での終生飼養サポートのしくみなどが紹介されました。参加者の皆様方は、特に特養ホームの場面で涙したり、「預かり」の共助のしくみに多くの共感を寄せたりしていました。
「高齢者とペットの間に横たわる問題はすべて人間の問題」地域社会とのつながりが希薄になっている今こそ、多職種、多機関、多様なリソースとの連携を構築し、「『地域共生社会』を全国津々浦々に広めたい」と安野先生の熱い想いを会場全体で受け止めました。
◆アンケートより:「人も動物も幸せになれるのがゴールであること」「独居高齢者が多くなる中で、最期の迎え方を考えさせられた」「事例が心にささった」「ペットの福祉に関する国内、県内の状況を示してくださり、とても心強く感じた。その情報をしっかり活用したい」「自分に何ができるか考えていきたい」「あの施設に入居したい」など、今ここから始まるつながりを感じました。
▶宮城の熱い3名とシンポジウム
安野先生の全国の先進事例を学んだあとは、さて宮城はどうなっているのか? 宮城の活動家によるシンポジスト3名のそれぞれの立場から、宮城の現状や取り組んでいることをお話しいただきました。
「にじのはしスペイクリニック宮城分院(松田院長)」は、猫の不妊手術専門病院で、手術車で直接現場に駆けつけます。獣医の松田院長は、昨年まで保健所にお勤めで、地域の多頭飼育の現状に、「蛇口から締めなきゃ」と、なんと退職して今年からこの事業を立ち上げた熱いお方。雨にぬれたたった2匹の子猫から始まった多頭飼育崩壊とお年寄りの孤独と孤立…。今、皆がそれぞれできることがある、との訴えに、共感が寄せられました。
「まるの会(佐藤代表)」は、小物制作販売等で資金を捻出し、長年ボランティア保護団体を資金面で支援しているボランティアの会「チマホマ社」が母体です。保護団体や高齢者の現状を憂い、「高齢者とペット問題を考える会」として昨年から勉強会を始めています。マルシェや地域のコミュニティを利用し て多頭飼育崩壊予防やペット後見の啓発活動など、多様な人たちを巻き込み、楽しみながら参加できる活動を展開しています。
「(一社)仙台市猫団体協議会「ねこ連」(横田代表)」は、行政への提言や連携、相談の窓口を明記し、一保護団体ではできないことを展開するために、これも今年から立ち上がった法人です。立上げ前から、多頭飼育崩壊現場を地域や多機関と協力しながら解決に導いたり、町内会など地域ぐるみの猫捕獲や不妊活動、保護団体の支援、動物遺棄現場への大型看板設置など、県と市や行政間の垣根にも果敢に切り込む行動力を披露してくださいました。
「宮城も動きだしている!」そしてそれぞれの活動につながりと、また参加者への広がりが感じらる内容となりました。この「ペット共生勉強会」は、超高齢化社会の孤独と孤立の中で、飼い主の自助だけでは解決できない問題を解決するために立ち上げています。飼い主主がいるいないに留まらず、まさに地域や動物と人の福祉の垣根も超えた連携が必要だと、改めて実感させられた会でした。
◆アンケートより:「シンポジストの皆様のそれぞれの活動すばらしい。何か協働できるか考えながら拝聴した」「各団体の活動が知れてよかった。」「それぞれができることを一生懸命考えていることが良く分かった」「町内会によんで講演→不妊手術をすすめたい」「困っている人や、たくさんの方に知ってもらえるよう、発信していきたい」など、これもまた広がりを感じるメッセージをたくさんいただきました。
▶会場や事前アンケートでも「想い」を
会場参加の方々には、最後に、現状と課題、希望をまとめるために、「ふせん」で参加していただきました。今の立場で「心配なこと、不安、困っていること」、「あったらいいな」をふせんでいただきました。
参加できない方やオンデマンド参加の方からも、事前にアンケートで同様の項目で意見をいただいております。
今後、会場のこのふせんと事前アンケートをまとめた上で、関係機関への提案、法人の事業企画、連携・協働事業の提案等に使わせていただきます。
▶想いをつなげて・広げて
3連休の最終日、会場は約30名、直接行けないけど、後日オンデマンド配信でも勉強したいという方々約20名、計約50名の方々が関心を持ってくださいました。参加者は、飼い主としての他、福祉、介護、医療関係、地域包括、民生委員など、人福祉がらみが多数。ペットの専門学校や複数の保護団体の参加もありました。当日はなんとはるばる青森から車で来たという方々や、仙台市外・県外からおいでくださった方々も複数いらっしゃいました。この勉強会のテーマ、「いくつになってもペットと安心して暮らす社会をめざして」への関心の深さ、高齢者・飼い主当事者だけの問題ではないという流れを実感します。またこの想いが、ご自分たちの現場に持ち帰って、広がっていくことを望みます。
また、今回の「ペット共生勉強会」は、安野先生においでいただいたことで、「知らせる」「つなげる・つながる」「自助だけではなく共助・公助へ」という当法人のねらいを力強く後押ししていただいたと感じます。今後も安野先生には ご支援いただけるとのことで、実り多い会になりました。ありがとうございました。
